⚑ サニーベール, カリフォルニア
自律型の捜索救難用航空機、Pixarの映画「カーズ」に出てくるライトニング・マックイーン、ダニカ・パトリック、そしてジャパンモビリティショー。これらを結びつけているものは何でしょうか? その答えは、ジャスミン・キタハラです。彼女がレクサス車の未来の体験を形作るインサイトや、女性がSTEM(科学、技術、工学、数学)の分野で成功するために重要な局面について話してくれました。
Q: Fujiプロジェクトとは何ですか?
私たちは、ブレインストーミングしたことを実現する役割を果たしています。具体的には、将来のレクサスのEVのためにです。私たちは複数台のレクサスRZのEVを所有しており、プログラムマネージャーやプロダクトマネージャーと協力して、ドライバーや乗客のユーザー体験を考え抜き、現実の世界で何を実現できるかを見極めています。また、ハードウェアとソフトウェアをどこまで一体化し、人々が望む体験を提供できるかを考えていますが、まだ検討の途中です。ユーティリティ、効率性、安全性、快適性、コネクティビティ...あるいはそれら全ての組み合わせになるかもしれません。最終的な目標は、レクサスが人々のために何ができるか、どうあるべきかをさらに高めていくことです。
Q: ハードウェアエンジニアとして、どのように貢献していますか?
車両統合エンジニアとして、車両とラボの両方のセットアップにおいて、安定したハードウェアおよびソフトウェア環境の開発と維持に取り組んでいます。これにより、ソフトウェアエンジニアが参加し、コードをテストできるようになります。
また、テスト環境の立ち上げも手伝っています。車両のベンチシミュレーションは、機能コンセプト実現のために、特定のハードウェアに対する実装の可能性や、特定のセンサーを追加できるかどうかを確認するためのものです。もちろん、最初から上手くいくことはないので、実車に対して実装する前に何度も繰り返し、ソフトウェアエンジニアとも何度も繰り返しながら改善を図り、より良いものにしていきます。その後、他のハードウェアおよびソフトウェアエンジニアと協力し、ベンチシミュレーションしたことが本当に機能するかを確認するため、車両への追加機能の統合とテストを行います。ハードウェアとソフトウェアエンジニアリング双方のバックグランドを持っていることは、両者をつなぐために役立っています。
Q: ソフトウェアエンジニアのバックグラウンドを持つハードウェアエンジニアですね?
常にハードウェアとソフトウェアの間で引き裂かれるような思いがしてきましたし、あえてどちらかに決めなかったのだと思います!私は物理学と数学が好きでしたが、同時にプログラミングも大好きでした。そして、コーネル大学に入学すると、本当に素晴らしい取り組みをしているプロジェクトチームがありました。私が面接を受けて採用されたチームは、捜索救難用の自律型航空機を設計、開発、飛行させていました。そこでは、ハードウェアとソフトウェアの両方を一度に全部扱うことができました。私は車が好きで、元々は自動車分野で仕事をしたかったのですが、ハードウェアとソフトウェアを意味ある方法で結びつけることができることは本当に素晴らしいと感じました。しかし、その後はコーネルテックで機械学習のインターンシップを選択することになりました...さらに、衛星通信会社で自動化テストのインターンシップを選択しました...これらは素晴らしい学習機会でしたが、最初のプロジェクトチームで感じた両者の最高の世界からはますます遠ざかっているように感じました。
そして、大学3年生の時にライドシェア企業のLyftが自動運転部門であるLevel 5のインターンシッププログラムを提供していることを知った際、私のミスマッチなスキルセットと自動車への愛が一致しました。私は「これはかなり完璧な機会だ」と思いました。そして、実際にその通りでした!私はコーネル大学で機械工学の学位とコンピューターサイエンスの副専攻を取得し、正規の雇用オファーをもらいました。そして、その時の素晴らしいインターンシップ担当マネージャーは、今でも私のマネージャーであり、スティーブンに感謝しています。そして、私たちはウーブン・バイ・トヨタというより大きな世界に関わることになりました!
Q: もしあなたが過去に戻り、昔の自分に1つアドバイスができるとしたら、何を伝えますか?
将来の進路を選ぶことについてあまり心配しないでください。ただ、自分が面白いと思うことに集中し、それを愛してください。そして、もし自分が違う道に進みたいと思うことがあれば、その通りにしてください。私は「情熱」と「好奇心」の組み合わせが最も重要だと思います。
Q: クルマ愛について触れていますが、その思いはどこから来ているのですか?
笑わないでくださいね。それは、ライトニング・マックイーンからです。Pixarの映画「カーズ」からです。その映画は私の人生を変えました。それ以来、私は車に熱中してきました。幼い頃にはレーシングドライバーになりたいと思っていましたが、それはあまり現実的ではありませんでした。しかし、少なくとも車と一緒に仕事をすることはできます。つまり、第二の選択肢です。
Q: これまでの仕事の中で、特に記憶に残っている瞬間はありますか?
2023年に開催されたジャパンモビリティショーにおいて、IRIM (Interactive Reality In Motion)を初めて発表したときです。車両プラットフォームを構築し、リアルタイムデモンストレーションを可能にするためのハードウェアおよびソフトウェアインフラストラクチャーをセットアップするグループの一員として、イベントのわずか数ヶ月前、日本に2週間滞在しました。
このイベントが特別なものとなったのは、それまで私の仕事が全て研究開発だったためです。全てが常に概念的でした。しかし、この時はグループの数ヶ月にわたる努力によって、誰もが体験し、利用できるようにショールームフロアで展示されました。また、現地での好意的な評判を耳にし、事後掲載された多数の好意的な記事を見た時、本当に報われたと思いました。ボーナスとして、私たちのチームは内部でWoven by Toyota「Invention of the Year」を受賞しました!素晴らしい1年の締めくくりとなりました。
Q: これまでを振り返って、テクノロジー分野において女性をより良くサポートできる機会はどこにあると思いますか?
早くから情熱を育むことが重要だと思います。私は8年生(中学二年生)の時、ロボティクスの授業に参加しており、その授業が大好きでした。しかし、初日の授業後、私は先生に呼び止められ、選択科目を変えたいかと聞かれました。その理由は、私が唯一の女の子だったからでした。先生は私に不快な思いをさせたくなかったのです。私が孤立を感じないよう配慮してくれたのだと理解していますが、指摘されるまでは思いもしませんでした。しかし、私はその事実に突如気づき、次になぜそれが問題なのかを疑問に思いました。
そのため、教師や親、マネージャーなど、影響力のある立場にいる際に大切なことは、どんなにマイノリティの立場にいる人に対しても、自分の居場所があると感じ、自身の情熱や関心がサポートされていると感じられるようにすることです。そうすることによりインクルーシブな空間がつくられますし、こここそがエンパワーメントが必要な部分だと思います。
Q: 当時も今も尊敬している人はいますか?
元レーシングカードライバーのダニカ・パトリックです。彼女は主にインディカーシリーズとNASCARにおいて有名であり、特にインディカーで優勝した初の女性でした。しかし、私が彼女について思うことは、彼女はただ自分の好きなこと、興味のあることをやり続けたということです。そして彼女は彼女自身のサポーターでもあったと思います。彼女のキャリアの成功は、その情熱と決意の賜物であり、本当に尊敬しています。
Q: 今後に向けて、今一番楽しみにしていることは何ですか?
残念ながら、その多くはお伝えできないのですが、Fujiや他のチームでは多くの新しいコンセプトが検証されています。また、自動車業界の最大手であるトヨタ自動車と協力しながらサポートを得られることは、新しいアイデアやコンセプト、機能によって最終的にポジティブな影響を与えることができる人の数を増やすことができという点において、とても素晴らしいことです。
Q: 仕事以外ではどうですか?
私はGR86に乗っており、友達と一緒にサンタクルーズの山々をドライブするのが大好きです。私の初めての車であり、信じられないことです。
また、テニスやゴルフなど、スポーツをするのも好きで、子供のころから続けています。年間を通して温暖なカリフォルニアの気候を本当にありがたく思っています。
Q: 最終的に、あなたはレーシングドライバーの夢を実現していますね。
そう言えるかもしれませんね!全てはつながっています。