2024年3月8日Blog

スポットライト:ハンナ・ヴィクタラヴァ、プロダクトオーナー、 Arene

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⚑ 東京, 日本

ベラルーシから東京へ ー ベラルーシのJ-Rockマニアから東京のプロダクトマネージャーへ至るハンナの旅は、目的に合わせた好奇心によって導かれてきました。彼女は、明日のモビリティを形作るエンジニアたちにとって重要なツールを構築し、社会が「価値」を再定義することによってインクルージョンを促進し、家族と過ごしたり、ダン・シモンズの小説を読む中で安らぎを見つけているといった話をしてくれました。

Q: 来日したきっかけは何ですか?

面白いことに、それはJ-Rockから始まりました。大学時代、私はジャパニーズロックに夢中になり、彼らが何を歌っているのかを知りたくなりました。また、私はこれまで学んできたドイツ語や英語とは全く異なる、日本語や中国語の文字にも興味を持ちました。そこで、日本語を学び始め、日本の文化に没頭し、共通の趣味を持つ友人とのネットワークを築き、最終的には楽天で働く機会を紹介してもらい、思い切って挑戦してみようと思いました。こうして日本にやってきて8年が経ちますが、今も日本で働いています!

Q: なぜモビリティソフトウェアの世界で働くことにしたのですか?

正直に言うと、最初からそうしようと思っていたわけではありません。しかし、楽天での経験を通じて、ドローン配送などの新規事業に関わる機会を得たことで、テクノロジーが人々の生活に直接的な恩恵をもたらすことができるということに気付きました。また、自動運転技術の開発をしていた会社のアジャイルコーチとつながったことにより、さらに視野が広がりました。その会社は、実際に人々の命を救うことに貢献できる技術をゼロから開発しており、本当に素敵だと思いました。実は、その会社とはToyota Research Institute - Advanced Development(現在のWoven by Toyota)だったのです。私もゼロからプロダクトを開発し、人々をより安全にすることができると思い、入社しました!

Q: Arene「車載ソフトウェア」チームの「プロダクト」は具体的にどのようなものですか?

当社やトヨタ自動車が、未来のコンセプトカーのためのソフトウェアをより速く、より安全に構築するためのツール、ライブラリ、およびドキュメントを提供しています。現在、私たちは2つの車両チームをサポートしており、当社のエンジニア、トヨタのエンジニア、トヨタグループのエンジニア、およびTier 1のエンジニアで構成されています。共通の機能やプロセスを抽象化することで、ソフトウェアや車両の品質および安全性を犠牲にすることなく、連携してより速く開発できるようにしています。これはとても重要なミドルウェアレイヤーであり、通信からAPIに至るまで、異なるドメインにまたがる車両制御やアプリケーション管理といった機能の実装をサポートします。

こうしたミドルウェアは、異なるソフトウェアアプリケーション、システム、コンポーネント、およびチームをつなぐために重要です。ミドルウェアがなければ、信頼できるソフトウェアをトヨタのような自動車メーカーが必要とする規模で車に搭載することはできません。

Q: 成功するために重要なことは何ですか?

最初から全てのタスクで完璧を求めないことです。例えば、細部に至るまで完璧なドキュメントやツールを作成するために長い時間を費やすことは、無駄な努力となってしまう恐れがあり、より大きなストレスになります!なぜなら、完璧の定義は人それぞれだからです。完璧とは協力と反復の結果です。

Q: どのように気分転換をしていますか?

残念ながら、もうJ-Rockコンサートには行っていないのですが、代わりに夫の影響でジャズを聴いています。また、音楽以外だと、家族、ハイキング、読書が私の幸せの源です。具体的には、サイエンス・フィクション(SF)、たとえばダン・シモンズの「ハイペリオン」などを読んでいます。SFから得られる効果は…異世界感や全く異なる新しい生き方、愛し方、コミュニケーション、旅行の探求…など、とても没入感があり、ついついその世界にハマってしまいます。

Q: プロダクトオーナーになる中で、女性や母親としてのキャリアを向上させる機会はどこにありますか?

状況は少しずつ良くなっていますが、社会全体としてはまだ「成果」よりも「時間」を重視していると思います。多くの人は気づいていないかもしれませんが、これは女性が仕事で成功する上で良くない影響を与えています。夜遅くまで残り、会議に参加することによって貢献を示す…こうした働き方が通常の就業時間内に生み出された価値より優先されてしまうと、子を持つ女性にとっては、同僚からの評価や昇進および成長の機会に悪影響があります。やはり母親が育児の責任を負うことが多く、いつも遅くまで残ることができないからです。

だからこそ、私たちは「献身」と「価値」は「費やした時間」ではなく、「生み出された価値ある成果」であることを何度も言い続ける必要があります。どのような「価値ある成果」が生み出されましたか?顧客やユーザーに対して、どのような価値が提供されましたか?こうした質問に基づいて評価されるべきです。私の上司たちは、この点を理解し、サポートしてくれています。私たちは間違いなくこの考え方に挑戦していると思います。

Q: 上記の問題解決に役立つ、小さくても意味のある行動は何ですか?

オンライン会議中に「自然体で臨んで良いですよ」と口に出して伝えてることです。会議中に子どもが画面に入ってきたり、体調不良のために膝の上で抱っこしなければならなかったり(これは子どもが幼い時にはよく起こることです!)…これらは避けられないことですが、家族を持つということの一部なので、不安に思うことはありません。

オンライン会議を始める時に「体調不良のお子さんがいると思うので、遠慮せず席を外してもらって大丈夫ですよ」といった簡単な声がけをするだけで、育児との両立の難しさにに対する認識と共感が生まれ、誰もが、そして特に女性が、理解され、サポートされていると感じられる環境を作ることができると思います。

Q: 次の目標は何ですか?

今後、会社としてどのように進化していくのかを楽しみにしています。私たちはトヨタと製品ラインの最適化を進めている途中であるため、新しい機能や働き方を定義する多くの機会があります。私たちの製品が世の中に出て、世界中の何百万人、何千万人もの人々に使われるようになるまで、私はその発見と創造のプロセスを楽しむつもりです。

私個人の人生においては、家族と一緒に素晴らしい思い出を作り続けたいと思います。実は今年、私の両親がベラルーシから来日することになっていて、父親にとっては初めてのことなんです。父に孫娘を紹介し、私が大好きになった日本を紹介できるのが楽しみです。